一般社団法人日本聴覚医学会 | Japan Audiological Society

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日本聴覚医学会用語集(2022.10.5改訂)の改訂・追加

1.はじめに
本聴覚医学会用語集は,1975年に前身の日本オージオロジー学会から刊行された日本オージオロジー学会用語を嚆矢とする。2003年には日本工業規格(JIS)に沿って大幅な改定を行うとともに「A.音響一般」,「B.音響機器」,「C.聴覚」の3つに区分された。その後の改訂・追加は別紙で行われており使用上不便であったため,2010年には用語集と別紙を統合するとともに各用語に通し番号が付与された。その後も新規医療の開発やJIS,国際標準化機構(ISO),国際電気標準会議(IEC)の改正や修正に伴って用語集を改訂しAudiology Japan誌で公表してきたが,用語番号は基本的に固定されてきた。このことは番号変更による混乱を避けるために有利であった一方,新規用語を追加することが困難などの問題も伴っていた。
のため,従来の用語集の趣旨は最大限尊重し,かつ今後の用語増加にも対応できる様に,用語番号の様式を変更するとともに若干の整理を加え,さらに新規用語を追加した。

2.用語番号の構造化
2010年以降の用語集では全体を大きく3つ(A.音響一般,B.音響機器,C.聴覚)に分類し(以下,大分類と呼ぶ),それぞれの用語には大分類を超えて通し番号が振られていた。そのため新規に用語を追加すると以降の番号がすべて変更になってしまい混乱を招く可能性があるため,本来は独立した項目とすべき用語も既存の用語の定義・解説の文中に参考として記載することで対応していた。
回の改訂では大分類の下に新たに分類を設け(以下,中分類と呼ぶ),その中分類の中で用語番号を振ることとした。たとえば,今まで用語番号233番の「オージオメータ」は,本分類でC-IV-1となる(Cは大分類の「聴覚」,IVは中分類の「聴覚検査一般」,1はこの中項目の最初の用語であることを示す)。中分類はIEC60050-801:Acoustics and electroacousticsのsection名などを参考にした。
分類を設けることによって,今後新たな用語を追加した場合でも全体に対する影響を最小化できるようになった。また,分類がより詳細に記載できるようになったことに伴い,一部の語句では大分類を超えて移動した。

3.語句の追加・変更
人工中耳」および「骨導インプラント」に関連する用語を追加した。「人工中耳」は広く用いられている語であるが,「骨導インプラント」に対しては他に「植込型骨導補聴器」,「骨固定型補聴器」の語句も使われてきた。「植込型骨導補聴器」は診療報酬点数表のK305-2,K328-2でも採用されている語であるが近年学術誌では使用されていない。「骨固定型補聴器」は商品名として用いられることが大多数であった。海外では“bone conduction implant”の語が一般的であり,これに対応する「骨導インプラント」を選択した。
連する用語として,「振動子」と「骨導端子」を追加した。「振動子」は“transducer”に対応する語句として選択した。日本聴覚医学会用語集で“transducer”は「変換器」と訳されているが,「人工中耳」や「骨導インプラント」に関連する場合は「振動子」と意訳することが多い。音響用語辞典でも人工中耳の項目で「振動子」とされているため,新たな語句として採用した。「骨導端子」は診療報酬表でも用いられる語である。対応する英語は“implant”であるが,「骨導インプラント」全体と混乱する可能性があり,“im-plant(body)”とした。
“Auditory brainstem implant”に対しては,現在は「聴性脳幹インプラント」の語が標準となっているため変更した。「疑似in situ利得」は用語番号の制限から「実耳補聴利得」の参考として記載されていたが,独立した用語とした。

引用規格
1.日本オージオロジー学会用語.AUDIOLOGY JAPAN 18 : 52-60, 1975.
2.日本聴覚医学会用語(2003.10.16.改訂).AUDIOLOGY JAPAN 46 : 638-673, 2003.
3.日本聴覚医学会用語(2010.4.1.改訂).AUDIOLOGY JAPAN 53 : 280-307, 2010.
4.日本工業規格 音響用語 JIS Z 8106 : 2000
5.日本工業規格 聴覚検査機器-第1部 : 純音聴力検査及び語音聴覚検査に用いる機器 JIS T 1201-1 : 2020
6.日本工業規格 聴覚器 JIS C 5512 : 2015
7.International elecrtotechnical commission(IEC)International Electrotechnical Vocabulary(IEV)-Part 801 : Acoustics and electroacoustics IEC 60050-801 : 1994
8.International elecrtotechnical commission(IEC)International Electrotechnical Vocabulary(IEV)-Part 801 : Acoustics and electroacoustics IEC 60050-801 Amd.2 Ed. 2.0 b : 2021
9.音響用語辞典. 日本音響学会編,コロナ社,東京,2003

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